金沢大学附属中学受験について

日程と時間割

学力検査実施日
 2024年12月7日(土)
合格発表日
 2024年12月12日(木)14:00
追加合格
 2025年2月中旬までに欠員が出た場合は追加合格者を決定し、本人および小学校校長に通知

時間割
 国語(100点)9:00~9:40
 算数(100点)10:00~10:40
 総合(100点)11:00~11:40
 ~~昼食~~ 11:50~12:50
 体育実技・面接 13:00~

1科目の試験時間は40分です。50分と勘違いしている方が多いのでご注意ください。また、総合とは理科と社会をまとめた科目です。この点もご注意ください。なお、英語はありません。

倍率・全体の難易度・合格ライン

毎年約3倍ほどです。50人の募集枠に対し、150人ほどの志望者がいる、かなり狭き門です。

金沢大学附属中学は国立中学なので、教科書レベルを超える問題は出ません。ですから首都圏や大都市の中学入試の問題と比べると、金沢大学附属中学入試はそこまで難解ではないです。ですから、受験対策とし高難易度の中学受験専門問題集を使う必要はありません。

合格ギリギリラインは70点ほどです。10年程前は60点前後でしたので、10点くらい上がっていることになります。ただしこれは、入試問題が以前ほど難解ではなくなったことが理由かと思われます。

国語の傾向と対策

大問1:説明文
大問2:物語文

説明文は難しいです。なぜなら説明文のテーマが小学生に馴染みのないものばかりだからです。令和6年度「日本人のすごい名言(斉藤孝著)」、令和5年度「はじめての哲学(藤田正勝著)」、令和4年度「自分の顔が好きですか?顔の心理学(山口真美著)」など哲学や心理学のようなテーマから出題が多いのです。平成の頃は環境や植物など理系のテーマが多く出題され、こちらも難しかったです。

ただ、説明文の文章自体はそれほど難しくありません。対策としては、色々な問題集の長文問題を多く解くことです。色々な説明文を読み、馴染みのないテーマに慣れておく必要があります。岩波新書などで読書することも効果的ですが、小学生にとって新書の読書は壁が高いかもしれません。ですから問題集で触れるのが一番かと思います。

設問数は概ね16問ほど(令和6年度が17問、令和5年度が18問、令和4年度が13問、令和3年度が14問、令和2年度が15問)。目立つのは字数制限付きの記述問題です。20字前後でまとめる問題が多く、字数が少ないので簡単そうな印象ですが、短すぎて実はまとめるのが難しいです。要約する力が求められます。

漢字の問題は各大問の最初に2問ずつ合計4問ほど。平成29年度以来、漢字は「書き」のみ出ています。「読み」は平成28年度に出ただけで、平成27年度以前も「書き」のみでした(平成19年度まで確認)。おそらく今年度も「書き」が出題されると思われます。難易度は高くありません。

作文は出ない可能性が高いです。平成25年度入試に出題されて以来、出題されていません。

また、令和6年度に面白い問題が出ました。

「声高」は「こわだか」と読みます。このように二つの漢字が組み合わさることによって元の言葉の音が変化する熟語を、次の漢字を使って二つ作りなさい。同じ漢字を二度使ってはいけません。

船  晴  雲  雨  旅  天


漢字の問題ですが、暗記している漢字を活用する問題といえます。このような問題は今後も増えると思います。

算数の傾向と対策

大問1:計算問題(2問)
テストはB4用紙2枚分
(例)令和6年度
大問2:速さ
大問3:約数と倍数
大問4:面積
大問5:平均
大問6:面積・規則性
大問7:仕事算
大問8:体積と割合
大問9:割合と比

何問目にどの単元の問題、というのは決まっていません。唯一大問1に計算が2問出る点はほぼ決まっています(平成19年度以降では平成29年度と30年度のみ3問出題)。この2問中、1つでも失点するのは命取りです。

大問2以降で必出単元は「割合」「速さ」「面積」です。ほぼ毎年出ます。続いて「比」「規則性」「体積」です。こちらもほぼ毎年出ます。「規則性」は対策がしにくいと思いますので、市販の問題集で練習する必要があります。「周期算」「日暦算」といった特殊算も「規則性」の練習に使えます。

難易度は標準レベルです。教科書だけでも十分に対策できます。中学受験独特の難解な問題はほぼ出ません。ただ、特に名称が無い単元ですが、「どちらが速いか問題」「収納する問題」がよく出て、これらの問題はとても面倒くさいのです。

「どちらが速いか問題」は「どちらのルートを使えば速いか」など「速さ」の単元から出題される以外にも、いわゆる「仕事算」からも出題されます。例を挙げます。

令和6年度大問7より

20分間で360枚コピーできるコピー機Aと、15分間で340枚コピーできるコピー機Bがあります。このとき、次の問いに答えなさい。

(1)10分間で、より多くの枚数をコピーできるのは、どちらのコピー機ですか。


(2)2つのコピー機を同時に使って、2500枚コピーをします。コピー機Aは20分間、コピー機Bは15分間使った後、どちらも5分間休ませます。コピー機を同時に使い始めてから、2500枚コピーし終えるまでにかかる時間は、何時間何分何秒ですか。


次に「収納する問題」です。小さな箱などを大きな箱に入れるなど、「体積」の単元と絡んで出題されることが多いです。こちらも例を挙げます。

令和3年度大問11より

Aさんは、3種類の大きさの本を合わせて20冊もっています。本の大きさと数は次の通りです。この本がちょうど全部入る本棚があります。次の問いに答えなさい。

(1)20冊の本の厚さの合計を求めなさい。

(2)20冊の本を図のように本棚に入れると、横はすき間がなくぴったり収まりましたが、縦は少なくとも2cmのすき間が空きました。
  この本棚は、周りがすべて厚さが1cmの板でできています。本棚の奥も1cmの板でふさがれています。本棚を作っている板の体積は全部でどれだけですか。

両問とも(2)がとても面倒くさいのです。問題自体はそれほど複雑ではありません。丁寧に解けば出来る問題ばかりかと思います。ただ、おそろしく時間がかかるので、私はタイムキラー問題と呼んでいます。タイムキラー問題は毎年1問は出題され、金沢大学附属中学入試の特徴の1つとなっています。解くのに時間がかかりそうな場合は、一旦飛ばすのも手です。

総合の傾向と対策

(例)令和6年度
大問1
(1)(2) :公民(憲法など)
(3)~(5):歴史(飛鳥~室町時代)
(6)(7) :地理(農業)
大問2:物理・化学(熱伝導について)
大問3:地学(台風と天気について)
(例)令和5年度
大問1
(1)(3)~(5):地理(災害・工業・農業・水産業)
(2)(8)    :公民(国会・憲法)
(6)(7)    :歴史(縄文時代・遣唐使)
大問2:物理(ふりこ)
大問3:生物(インゲンマメの発芽)

総合とは、上記の通り理科と社会を合わせた科目です。テストの分量は、社会パートの大問1がB4用紙2枚分、理科パートの大問2・3もB4用紙2枚分とちょうど半分ずつです。

驚くべきはその記述問題の量の多さです。令和6年度・5年度の両年とも問数20問、うち記述問題が11問。問題内容も、教科書に出ているものもある一方、特に理科は実験結果と知識の応用を絡めた問題があります。1つ例を挙げます。

同じ形・大きさだが素材の違うスプーンを用意した。それぞれプラスチック・銅・鉄でできている。

その3種類のスプーンに同じ形と大きさの氷を乗せ、スプーンを手で握った。5分後、スプーンの上に溶け残っている氷の量を観察したら以下のようだった。

  プラスチック > 鉄 > 銅


この結果から、固いアイスクリームを一番すくいやすいのはどのスプーンか、その理由もあわせて答えなさい。


よく考えれば難しくないのですが、あまり見たことのないパターンの問題に受験生は動揺すると思われます。記述問題の多さや、少し変わった切り口から問われる問題など、前もって心の準備が必要です。中高一貫校入試に出る適性検査の問題や、あとは過去問を多く解くことが対策になります。

あとは、社会は時事ネタが問題に絡むことが多くなるかもしれません。令和6年度の歴史問題は、その多くが平安時代からでしたが、令和6年度のNHK大河ドラマは紫式部が主人公です。とある中学は「大河ドラマなどを見ていた受験生が有利になるような問題を作ります」と明言していましたが、もしかすると金沢大学附属中学校も・・・大河ドラマだけでなく、社会情勢に目を向けておく必要もあるかと思います。

体育実技について

以前までは「マット運動」「鉄棒」「縄跳び」なども出ていましたが、最近では「体育館ランニング」「シャトルラン」「三角ポール運動」の年が多いです。ランニングは準備運動ですし、シャトルランは学校の体育授業の同じなので、ここでは「指示通りに動く」について解説します。

「三角ポール運動」は、競技名がないので勝手に名前を付けました。説明します。まず、体育館に三角ポールがいくつか置かれています。ポールは、そのまま置かれていたり、2つがゴムひもで結ばれていたり棒でつながれていたりします。受験生は「三角ポールの間をジグザグで走る」「ゴムひもの下をくぐる」「棒を飛び越える」など指示を受け、そのトータルのタイムを測定します。

「シャトルラン」「三角ポール運動」どちらもタイムや記録より一生懸命さを評価されているそうです。棒を飛び越えられなくても、ゴムひもに引っかかっても、「もう一度お願いします!」とやる気がある姿勢を示せば大丈夫です。逆に「三角ポール運動」で指示通り動かないと大減点だそうです。

面接について

10年以上前は生徒4人での集団面接でしたが、最近はずっと個人面接です。具体的には、生徒1人に対して先生が3~4人の形態です。質問は2~3問ほどです。

1問目は生活習慣に関する質問です。「朝ごはん何食べた?」「何時に起きた?」「何時間寝た?」など簡単なものです。正直に答えれば問題ありません。

2問目は「紹介系」か「想像系」の質問です。
紹介系の例
「あなたの学校を紹介」「あなたの街を紹介」「あなたの家族を紹介」「あなたの英語の先生を紹介」など。
想像系の例
「あなたがもし魔法を使えたら?」「あなたの街にもし建物を建てるとしたら?」など。
最近は「想像系」が続いています。3問目は2問目に関連したことが聞かれます。

また、2問目と3問目ですが、30秒~1分の考える時間をもらえます。焦る必要はありません。じっくり考えてから答えましょう。

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